*

帰ってきてくれた

公開日: : 最終更新日:2014/06/12 恋愛, 泣ける話

Pocket

昨年の夏休みの話

会ったこともない遠い親戚の葬式。親父が出席するはずだったんだけど、どうしてもいけなかったので俺が代わりに出席することになった。
新幹線乗って田舎町へ。

周りも見たことない人しかいないので、重い空気に沈鬱していた。
葬式が終わり退出しようとしたとき、出口で見知らぬ婆さんに突然腕をつかまれた。
けれども、つかんだきり何も話さず目を丸くしているだけ。
かなりの高齢だったのでぼけているのかと思い、何でしょうかと質問すると、○○さん?○○さん?としかいわない。やはりぼけているのだろうかと思い、周りをみても誰も知り合いがいる様子にない。
この人も俺と同じく遠縁の人らしかった。

婆さんは俺を見ながら「あんれえ帰ってきて下さったん、まっとっ…」と黙り込んでまたしばらく動かない。
すると今度は婆さんに食事に連れて行かれた。お腹も空いていたので一緒に食事をすることに。
食事中、婆さんは昔話ばかりしていた。食事の後も俺はあちこちに連れまわされた。
この建物はいつ作られただとか、あの建物はなくなったのとかそういう話ばかり。
俺は特に語らず、聞き手になっていた。

帰りの新幹線の時間もあるので、婆さんにそのこといって別れようとすると引止めにかかられた。
もういってしまうのか、今度は直ぐに帰ってくるのかと聞き取りにくい方言で何度も俺に聞いてくる。
めんどくさかったので、また直ぐに会えますよと返事をしつつ別れることになった。
婆さんは駅まで一緒に行くといい、途中何度も行かないでくれといわれ、引きとめられた。
結局、新幹線には乗り遅れた。散々な目にあったと思い帰宅。

数日後、また親戚の葬式の連絡。今度は親父がこの間よりも近い親戚なので俺にも来いという。
バイト仲間にまた葬式かと冷やかされて葬式にいった。

そうしたらなくなった人はあの御婆さんだった。
驚きつつも、そうか、亡くなったのかぐらいにしか思っていなかった。
葬式の喪主は婆さんの弟がおこなっていて、どうやら婆さんはずっと独身らしかった。

式後改めて喪主の人に会いにいくと、婆さんの弟は俺をみて驚愕し、また○○さんと間違えられた。

亡くなった婆さんにもそういわれたことを教えると、いつ会ったのだときかれ、まえの葬式で会い、食事やら散歩したことを話した。そうしたら弟の爺さんが泣き出して、少し待っていろという。
しばらくして爺さんが写真を持ってきた。

その写真には俺が写っていた。

写真は白黒でかなりぼろぼろであったが、ゲートルをまいて国民服を着た俺がたっていた。
そして隣には十代後半に見える女性がいた。良家のお嬢さんに見える。
爺さんは話してくれた。その女性はあのお婆さんで隣の俺そっくりな人は○○ということ、戦争が終わったら結婚するはずだったこと。
終戦後その人は帰ってこなかったが婆さんは帰ってくるといい続けたこと。
婆さんは戦後の農地改革で家が没落し、結婚を薦められても頑なに拒否したらしかった。

お婆さんが死ぬ直前弟であるその人に、やっとあの人が帰ってきてくれた、今度は直ぐ戻って来るんだと嬉しそうに語っていたらしい。

弟のお爺さんは死の直前に幻覚をみているのだとしか思っていなかったが、そうじゃなかった、あの人の生まれ変わりが最後に会いに来てくれたんだと号泣しながら語り、俺に何度もありがとう、ありがとうと言っていた。
俺も涙が止まらなかった。

お婆さん、今頃おれのそくっりさんと天国で寄り添っているのだろうか。
またいつか、お墓に花を添えに会いに行くよ。

AD googleアドセンス

関連記事

成人式の日

成人式の日、 それは美容室にとって、 大いに気合いが入る日。 その年の成人式も

記事を読む

男と女の嘘…

女は男の「 浮気 」を許し   男は女の「 嘘 」を許す       男は女の「 浮気

記事を読む

こっちにおいで。二人なら少しはあったかいんだ。

傷ついてるのになんでもないふりをしちゃうんでしょ。 痛くてたまらないのに平気なふりをしちゃうんでし

記事を読む

【神様からの手紙】

例え動物であっても、ペットは今や家族同然の存在と感じる人も多い時代。 しかし、人間よりも寿命の

記事を読む

ひとつ上のお兄ちゃん

三歳ぐらいの時から、毎日のように遊んでくれた1コ上の兄ちゃんがいた。 成績優秀でスポーツ万能。しか

記事を読む

甘くてまずいコーヒー

飲み物の思い出になるんですが。 中学2年の時、遅い初恋をしました。相手の彼は目立たないけど 優し

記事を読む

友達を亡くしたことで生きていることのすばらしさを知る話

前に載っていた『たかし君』のクラスメイトだった者です。 4年前、当時小学6年生の11月のこと。貴嗣

記事を読む

尊い命に感謝すると言う事

去年の8月… 私は妊娠しました。 その年に見た桜があまりにも 印象的だったため、その子を

記事を読む

高校最後の大会

俺にとっての高校生活が終わった 終わってみると短いものだ 高校生活 たくさんの思い出がある

記事を読む

愛猫の最期

物心ついた時からずっと 一緒だった猫が病気になった。いつものように私が名前を呼んでも、腕のなか

記事を読む

AD googleアドセンス

AD googleアドセンス

感動する話 5歳の息子がヤクザを泣かせてしまった話 -youtubeより-

https://youtu.be/8RcTqomO0OA やくざ

お母さんのハンバーグ弁当の味

俺の母さんは、生まれつき両腕が不自由だった。 なので料理は基本的に父

「すぐツライと言うのは、ほんとはツラくないんだよ」その言葉忘れない。

大好きだったじぃちゃんが亡くなりました。 私は、小さい時からよく

【騙された花嫁】しかしその真実とは?

本当の親ではないパパと、騙されたその娘の結婚式。 騙された花嫁と

【実話】「他に男できたから別れよ!」…彼女に突如別れを告げられた俺に一本の電話が…(感動する話)【漫画動画】

「彼氏に心配かけたくなくて迷惑かけたくない」という気持ち と

→もっと見る


PAGE TOP ↑