天国と地獄~ほんのちょとした違い~


ある男が神様に会った
日頃から気になっていたことを男は尋ねた
「神様、本当に天国はあるのですか? 
地獄なんて存在するのですか?」

神様は微笑んだ
「こちらについて来るがよい。地獄を見せよう」

最初に入った部屋が「地獄」だった
人間たちが料理の入った大きな鍋を囲んで座っていた
それはそれはおいしそうな料理だった
でも、全員がひどくおなかをすかせていた
なにやら生きる希望もすっかり失っているように見える

みな、スプーンを鍋に入れては料理を口に運ぼうとするのだが
スプーンの柄が長すぎて、料理は口に届かない
空腹で、目の前にはおいしそうな料理
しかし空腹を満たすことはできない
その苦しみたるや
まさに筆舌に尽くしたがたいもの

ひとびとの苦しみようはひどいものだった
男は暗然たる気持ちで部屋を出た

「さて、今度は天国をみるがよい」
次の部屋が「天国」だった  

だが、部屋の様子は「地獄」となにも変わらない
人間たちが料理の入った大きな鍋を囲んで座っていた  
柄の長いスプーンもあった
違うのはそこにいる人間たちが満ち足りていること
お腹も充分に満たされ  
人々の顔は幸せに輝き・・・

男は神様に尋(き)いた
おなじ鍋 同じスプーン
なのに
なぜここにいる人たちはこんなに幸せで
さっきの人たちはあんなに惨めなのでしょう?
与えられた環境や 条件はまったくおなじだというのに・・・

神様は微笑んだ 
「とても簡単なことだ」
ここにいる者たちは  
互いに食べさせあうことを学んだのだ
それだけの違いなのだ

q01342

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