*

いってらっしゃい

公開日: : 最終更新日:2014/07/07 感動する話

Pocket

もう二十年位前の話です。
私は小さい頃親に離婚されて、どっちの親も私を引き取ろうとせず、施設に預けられ、育てられました。
そして三歳くらいの時に今の親にもらわれたそうです。

当時の私はその自覚などしておらず、記憶は無く、その親を本当の親と思って中学二年まで過ごしてきました。
そして、突然の父との別れが訪れました。
脳梗塞で帰らぬ人になりました。

そして、その最悪の時に、

「私とその親は家族ではない。」

ということを、親戚の方から偶然にも知ってしまったのです。

葬儀のあと、私は母を問い詰め、本当の事を聞きました。
その時を境に、私は母を嫌いになりました。
死んだ父でさえも嫌いになりました。
多分、裏切られたとか思ったんでしょう。
元々家が裕福ではありませんでした。
ですから父が死んでしまったので、母が働きに出ざるを得ませんでした。

母は、朝は近くの市場で、昼から夜にかけてはスーパーで働きました。
それもこれも全て、私のためのものでした。
ですが、当時の私には、それすらもうっとうしく思えてなりませんでした。

時には、登校の時間と母が市場から帰ってくる時間がちょうど重なってしまい。
友達と登校していた私は、ボロボロになった母と家族であるということを、友達に知られたくなく

「いってらっしゃい。」

と言う母を無視しては、友達に

「誰あれ、気持ち悪いんだけど。」

という悪口すら言っていたものでした。
それを察してか、次の日にはわざと目を伏せ、足早に私とすれ違っていきました。
でも、それでも、母は何一つ文句をいわず働いてくれていました。
そんな日が一ヶ月くらい続いたと記憶しています。

そんな雨の日、雨合羽を着て市場から帰ってくる母とすれ違いました。
当然無言です。
その姿はなんとも淋しく、哀しく、辛そうに見えたのです。
涙が溢れました。
ぐしゃぐしゃに泣きました。
私は一体何をしているのか。
ボロボロになってまで私を育ててくれているあの人に、私は何をうっとうしく思っているのかと、凄まじい後悔が私を襲いました。

私は友達の目も気にせず、母に駆け寄りました。
でも、何を言っていいかわかりませんでした。
その時、ふと口をついた言葉が

「いってきます。」

でした。
言えた言葉はたったそれだけでした。
でも、母は一瞬驚き、そして泣きました。
そして、何度も何度も

「いってらっしゃい。」

と言ってくれました。
私が友達の元へ戻ったあとも、母は私を見ながら手を振って

「いってらっしゃい。」

と言ってくれていました。

今では、彼女こそが本当の私の母親です。
たとえ戸籍上はどうあれ、そう思っています。
恩は返しきれないくらいあります。
母は

「それが親の勤めだよ。」

と言いますが、でも、じゃあ今度は子として、親の面倒を見ていきたいです。
この人が母親で、最高に良かったと思います。

http://kandoustory.con-ple.com/いってきます-266.html

q01331

AD googleアドセンス

関連記事

「最も醜い女」と呼ばれた少女の半生がついに映画化。その人生に学ぶこと

1989年に生まれたリジー・ベラスケスさんは、「最も醜い女」と呼ばれながら10代の時を過ごしました。

記事を読む

本当に感動したときの言葉

一人のお母さんから、 とても大切なことを教えられました。 そのお宅の最初に生まれた男の子は、

記事を読む

「会社を辞めたい」と呟いた。

「会社を辞めたい」と呟いた。 「大丈夫」と返してくる男がいた。 プロフィールには55歳。

記事を読む

かわいそうな柿

昔24時間営業のスーパーで働いてた。 この時期はただえさえ寒いうえに店内冷房ですごく寒かったな。

記事を読む

全身の筋肉が骨化する難病と闘う女性の強さと美しさが人々の心をつかむ

英国で、難病におかされたある女性のドキュメンタリー番組が放映された。 病に屈しないその生き方、

記事を読む

少年と、足を失った飼い犬

英国から病気のせいで引きこもりになった少年と、足を失った飼い犬との心温まるニュース 3本足の犬

記事を読む

最後の夕日

一月一日の 「初日の出」を拝む人はいるけれど 十二月三十一日の 「最後の夕日」

記事を読む

突発性難聴と診断された妻

昨年、突発性難聴と診断された妻。 病院に通って服薬治療を続けてきた妻だったが、とうとう先週「このま

記事を読む

IBMの正式な職員

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあるIBMのオフィスに、野良猫が住み着いた。IBMの職員は野良猫

記事を読む

勇気のいること

彼女の名前はニッキー。 近所に住むこの若い女性の生き方は、何年もの間私の大きな励ましとなっている。

記事を読む

AD googleアドセンス

AD googleアドセンス

お母さんのハンバーグ弁当の味

俺の母さんは、生まれつき両腕が不自由だった。 なので料理は基本的に父

「すぐツライと言うのは、ほんとはツラくないんだよ」その言葉忘れない。

大好きだったじぃちゃんが亡くなりました。 私は、小さい時からよく

【騙された花嫁】しかしその真実とは?

本当の親ではないパパと、騙されたその娘の結婚式。 騙された花嫁と

【実話】「他に男できたから別れよ!」…彼女に突如別れを告げられた俺に一本の電話が…(感動する話)【漫画動画】

「彼氏に心配かけたくなくて迷惑かけたくない」という気持ち と

嫌いな母親の顔の傷の秘密。もっとキレイなお母さんが良かったのに。

大嫌いな母親には大きな傷が。 それが母親を嫌いな原因。なんでそん

→もっと見る


PAGE TOP ↑