渡せなかった婚約指輪 横にいた彼女が僕の目の前で中に浮いていた
彼女が30歳の誕生日を迎える前の日にプロポーズをして、彼女も幸せそうにうなずいた。誕生日には婚約指輪を贈ろうと決めていた僕と彼女は、当日2人でディナーに行くために駅まで歩いていた。
ちょっと奮発してホテルのディナーレストランを予約していたので、そのときに指輪をサプライズで彼女に渡すつもりだった。
「そんなに奮発しても大丈夫?無理させたね」と申し訳なさそうに、でも嬉しそうに彼女が笑ったその瞬間、横にいた彼女が僕の目の前で中に浮いていた。
後ろから暴走してきた車にはねられて、ふっ飛ばされてしまったのだ。
もうあれから何年たっただろうか、あの時の光景は今もスローモーションで焼き付いている。
彼女はしばらく息があり、僕は必死に叫んでいた。泣きながら、恐怖で震えながら、なすすべもない自分をはがゆく思いながら。彼女は言った「泣かないで。○○が無事で良かった……」
今もずっと考えている。あれが僕だったら良かったのに、と。
彼女を車道側に歩かせたことをずっと後悔して後悔して、ずっとこれからも後悔し続けるのだろう。
渡せなかった婚約指輪は今もずっと持っている。死ぬまできっと後悔し続けて生きるのだろう。それが唯一、僕が彼女にしてやれる懺悔なのだと思っている。
【30代 男性】
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